もよいめも

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長野高専ロボコン部の裏話 おまけもあるよ

本記事は長野高専アドベントカレンダーの22日目の記事です。
qiita.com
21日の記事はK_White氏による就活関連の記事でした。4年生は必読ですね。

ちなみに私の進路選択に関してはいつか記事を上げるのでお待ちください…

溜まりに溜まった下書きたち

流石に今年中に上げたいなぁ、めっちゃ見たいって方がいたらスターでも押してください。もしかしたらやる気出るかもしれません。

さて本題に戻りまして、今回は長野高専のアドカレということですので、長野高専に関連して、なおかつまもなくTV放送を控えている高専ロボコン2022の裏話でも、していこうかなと思います。
とはいっても部公式ブログでもない(公式ブログ、実はあるらしい)ので、差し障りのない内容ですがよろしくお願いいたします。
ついでに、おまけとして「後輩に教えたい!ちょっとした学び」をご用意したので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

時系列で振り返る

ルール発表から

4月下旬、今年のルールである「ミラクルフライ〜空へ舞い上がれ〜!」が満を持し発表されました。

その前の2年間は、ハピロボ・スゴロボという、自分たちで好きにロボットをつくって見せ合うというルールでした。
しかしながら、これらは現役ロボコニストからすこぶる不評で、「今年もそんなルールだったらロボコンやらん!」と言う話をちょこちょこ聞いており、今年はどうなることやらとヒヤヒヤしたルール発表でした。

結果としてはいつものロボコンに戻って、そんなことを言っていた同級生のT君も大喜びしていました。
5年部員の半数はめちゃめちゃ受験シーズンなはずなのに、みんなでワイワイアイデア出しをしていましたね。

最終的には遊園地と鶴で方向性が決まるのですが、そのアイデアが生み出されるまでに、中々にクセの強いロボット案が出ていました。


例えばロックタイロボ。


我が校ロボコン部では、2019年のランランランドリー以降、何でもかんでもロックタイをつければなんとかなるという伝統が生まれており、何度も救われてきた歴史があります。
そこで、投射からまさかの足回りまでも全部ロックタイで作ってしまうというロボットが爆誕しました。

その他には、足がムチになっているタコで投射だとか、全部リンクで人の動きを真似るロボだったり、個人的にはなかなか面白いアイデアが出ました。


そんなことをしていて1ヶ月間、全然アイデアが決まらず4回目のアイデア発表会の内容も白紙に戻されるなか、突如として遊園地案が誕生しました。
イデアが決まったら、そのへんにあった丸椅子を使用した実験機でひたすら実験し、その実用性を探りました。


公式ツイッターに上げてある動画はその時のものです。


大会前にロボコン本部からこういった動画を事前にあげておけと言われていたのですが、すっかり忘れていて大会中にアップしました。(ごめんなさい)

そんなこんなで進んで行くわけですが、私は受験で9月ぐらいまで全然参加できていなかったので、話は一気に進んで8月下旬になります。

8月下旬から

この辺りに来ればちゃんとした実験機も完成しており、めっちゃ実験していました。結果は良好で、かなり精度がよく、遠くまで飛ぶ投射に仕上がっていました。

しかしここでサイズオーバーが発覚。泣く泣く投射の腕を短くして再実験したところ、全然飛ばなくなってしまい、皆で悲しみにひたっていました。

pixelのレコーダーで録ったミーティングの記録


チーム名の「信州ずくだせランド」とロボット名の「信州大回てぇん」もこの頃決まりました。
このダッサイ名前は実はどちらも私が考案したのですが、まさか採用されるとは思ってなかったです。

ずくだせランドはまだいいとして、大回てぇんってなんだよってなると思うのですが、
これはどちらもチーム名として考案したもので、” 大回転”と”〇〇園”をくっつけて、”だいかいてん・えん”→”だいかいてえん”→”だいかいてぇん”となったわけです。
個人的にはロボットのモチーフである「カイトフライヤー」とチームリーダーの名前になぞらえた「カイト君」を推していました。

9月

9月は実験をしつつ2号機の制作でした。
しかしながらこの頃、私は就活をしていたので(おっと?)あまり参加できませんでした

10月

地区大会が目前に迫る中、投射の位置を判定するセンサーを交換したらモーターのノイズを拾ってしまい、足回りを動かすとすべての紙ヒコーキが投射されてしまうという問題に悩まされました。

そして大会数日前、われわれは銀杏を収穫していました。(?)

部室の横の銀杏と部室に放置される収穫物"

毎年その匂いで我々を悩ませる銀杏ですが、今年は特に実が多く、そのへんがやばいことになったので、一回収穫して掃除しました。(3日後には元に戻って泣いた)
数キロ手に入った銀杏は、素手で洗浄して部員と分け合いました。その後数日間は手がかぶれて皮が剥けまくり、大変でした。

地区大会

ついにきたり地区大会。
T君が新幹線に乗り遅れたり、先生が事前に記入しておいた健康チェックシートを長野の車のボンネットにおいて来たりと、さまざまなハプニングを乗り越え無事に会場入りしました。

1日目のテストランを無事に終え、小山駅近くで夕飯とレモン牛乳を買いました。コンビニの前の歩道に、長野ではめったに見ないG君がいたので、思わず写真を撮ってしまいました。立派ですね。

レモン牛乳とG

そして大会当日。
練習でもなかなか乗っていなかった滑走路に見事着地するという、まさにミラクルフライが発生し、ありがたいことに全国大会への推薦枠を頂くことが出来ました。

ちなみに、このころのロボットには装填機構がついていましたが、紙飛行機の個体差が大きすぎて安定して装填できないことが発覚していたので、装填機構に装填されている紙飛行機を抜き取って手動で装填してました。
さらにさらに、装填機構は大会時は3つついていましたが、本当は6つあり、すべての腕に同時に装填することを想定していました。
しかしながら、1つあたり1.5kgくらいある装填機構を6つもつけると重量オーバーになることは明らかになり、減らすことになりました。

重量オーバーが発覚した際の写真

見た目があまりにもイカツイので減らして正解だったと思います。
しかしながら、装填を失ったことで得点力が落ちてしまったのも事実です。高速で装填して投射できる方法が思いついて、なおかつもう少し時間が確保できれば、ロボコン大賞もあったかもしれなかったですね。

11月

全国大会に向けて部全体でずくだせランドの改良を行っていた最中、鶴がエキジビションに出場が決定したとの一報が入りました。


外装を鶴メンバーに任せていたので、そのタスクが降り注ぎ、かつかつスケジュールで改良を進めることになりました。
まあそんなこんなで、電光掲示板をつけてみたり、コーヒーカップをつけてみたり、遊園地を違法建築したりしました。
ロボット上部についていた基板もきれいにリニューアルしていい感じにしました。

投射の位置決めに使うレーザー基板もリニューアルし、大量のレーザーが取り付けられるようになりました。

レーザー基板

合計24個のレーザーが搭載されていたので、”大量の数のレーザー”→”数レーザー”→”カズレーザー”という渾身のボケを用意していたのですが、披露することはなかったのでここで消化しておきます。

全国大会

地区大会の時のようなハプニングもなく、無事に国技館に到着して、運命のトーナメントくじ引きに挑みました。
そして引いたのがまさかの群馬高専。皆絶望でした。得点力も音割れ力もレべチでしたからね。


そんなこんなでテストラン等々を終え、飯を食べに行きましたが、群馬高専の皆さんと遭遇し、音割れ群馬高専さんの入ったラーメン屋の向かいの中華料理屋で夕飯を食べました。

両国駅前の小次郎で食べたマーボーナス

うまうまでした。

そして試合。
地区大会のようなミラクルフライはおこらず、ぎりぎりの1点でした。
しかしながら、アイデアや細かいこだわりが評価され、念願のアイデア賞を頂きました。

試合直後にアップした回路の写真も多くの方に見ていただけたようでうれしいです。
過去イチできれいな配線で自信作です。回路ボックスはそれごと外れるようになっているので、メンテ性もバツグンなんですよ?


その後、片付けをしていたらこじるりに遭遇したので、いろいろおしゃべりして長野へ帰りました。

回路の裏話

さて、全体の流れを振り返っただけで結構な分量になってしまいましたが、ここからは回路関係の裏話をしていこうと思います。

今年のシステム

今年は去年試しに使ってみたRaspberry Pi Picoがなかなか良くて気に入ったので、ほとんどがpicoで構築しました。
春休み中に受験勉強の休憩として開発をすすめ、珍しく早い段階である程度完成していました。(去年メイン基板が完成したのは大会数週間前)


メインからRS485で各ハブに信号を送りまくるという今までの我が部の方式を受け継いで、マイコンをリニューアルした感じですね。
コントローラー関連も通信プロトコルはそのままでリニューアルを行いました。

おまけ「後輩に教えたい!ちょっとした学び」

①チップのセラコンを手はんだするときは要注意

今回ロボットには搭載しませんでしたが、実はモータードライバーの制作を裏で進めていました。
その際に得た学びが「セラコンを手はんだするとたまに内部が割れてしまう」です。
見た目的にはしっかりついているセラコンも、実は半田が冷めるときの収縮で引っ張られて内部的に割れることがあります。
私の場合は運が悪いことにブートストラップ用のセラコンでそれが起きてしまい、モーターが全く動かない現象に悩まされました。
ちなみに、コンデンサがしっかりつながっているかどうかは、通電した状態でコンデンサ両端の電圧を図ることである程度判定できます。

②リレーは定格で使おう!

非常停止には代々12vのリレーを使っており、電池の電圧である大体16v程度をそのままぶち込んで切り替えをしていました。
しかし、練習中に非常停止が利かなくなる重大な問題が発生し、どうしたものかと原因を探していたところ、
リレーが過電圧で磁化して戻らなくなっていることが発覚しました。
ただの電磁石と舐めていたら痛い目に合うので、部品はちゃんと定格で使いましょう。

コンデンサーは各所に設置しよう!

地区大会前に発生したセンサーにノイズが乗ってしまう問題ですが、
こちらはセンサーのすぐそばにコンデンサを追加することで解決しました。
大本にはたくさんコンデンサを突っ込んでおいたので大丈夫だろと、たかをくくっていましたが、EMCは奥深いようで
ちゃんと対策しないと効果を発揮しないことを思い知りました。

④根幹のシステムはOFFシーズンで完成させろ

これは当たり前ですね。
去年、私は怠惰であるにもかかわらず、根幹のシステムのリニューアルを推し進めました。その結果、いろいろと遅れまくって大変迷惑をかけてしまったと反省しています。
その年ごとに新規開発は必要になりますが、根幹となる部分OFFシーズン中で完成させましょう

⑤基板はあらかじめ形を決めておこう

今年の基板は特殊なもの以外、7cmの正方形で固定穴の位置もあらかじめ決めておきました。その結果、回路ボックス内の整理がとてもしやすくなり、見栄えもとてもよく、さらには拡張性もたかい素晴らしいボックスが完成しました。

ロボコンは技術対決とは限らない

最近、多くの高専が現代制御を取り入れており、導入していない長野のような高専との差が開きつつあります。
しかしながら、(高専ロボコンはあくまでもアイデア対決であることを忘れてはいけません。
重要なのはアイデアであり、高度な制御や高い技術力は必ずしも要求されるわけではありません。
高度な技術や制御を取り入れ、それがアピールポイントなロボットでも、審判の評価があまり高くないことはよくあります。
求められていることは面白いアイデアであることを忘れず、アイデアを実現するために技術や制御を選択していくべきであると、私は考えます。

2023/4/20
最近やけにPVが多いので追記
これは高専ロボコンロボコン大賞を念頭に考えた場合の意見です。
優勝を目指す場合や、学生ロボコンとかの場合はバチバチ技術対決ですからね。

普段お気持ち表明はあまりしない様にしているので、あえて最後の方に書いたわけですが、わざわざ書いた理由は「技術向上にとらわれてアイデアを考えるのを放棄してほしくなかった」という個人的な希望があったからです。
いや〜、自分でも上手く言葉に表せ無いのでもどかしいんですが、
もちろん効率的にルールを淡々とこなすロボットは大好きです。
ですが過半数高専のロボットがそうなったら高専ロボコン高専ロボコンである理由は無くなるのでは無いかと思っています。そういう大会は他にも沢山ありますからね。

世間(ロボコン内ではなくの広い意味の)で見たことのある、さんざん擦られた高い技術でゴリ押すよりも、良いアイデア(工夫)を生み出し、存分に活用して課題をこなしてほしいという考えが私の中にあります。※理想論、本人には出来なかった模様

本質的に重要なのは「新たに生み出すこと」であるんじゃないかなと。
それがアイデアであり、高専ロボコンが一番重要にしていることな気がします。

まあともかく、高専ロボコンにはこれからも今まで見たことのない様な変なロボットで溢れかえっていてほしいと、個人的に願っています

⑦ゴミバンドは使わない

2.4GHzは完全に終わってます。絶対に使わないように。
出来ればどこも使ってないバンドを狙いましょう。

「いっぱいチャンネルがあるから別に大丈夫だろう」は間違いで、
相互変調という要素により、実際問題なく使えるチャンネルはかなり限られます。
↓2ページ目「1-3.電波に関する留意点」参照
https://www.interplan.co.jp/support/solution/wireless/im920s/manual/IM920s_SW_manual.pdf


もし他校でも同じバンドを使っている様なら、事前に打ち合わせをし
相互変調の影響が少ないチャンネルを使用するのが理想的です。(チャンネルプランで検索)


なお上記内容は周波数が固定タイプの通信機についてです。
周波数ホッピング等の場合は知識がないのでわかりません

まあどちらにしても、本番で発生する無線関係の問題を最小にしたいなら、ゴミバンドは使わないのが確実です。

⑧大会は交流会だ!

ロボットを語れ、そして色々聞け!


最後に

こんなに大きなテーマなのに、今まで書き溜めていなかった自分が憎いです。
超急いで書いたので書きたいことの6割くらいしかまだ書けていません。
しかしアドカレは今日なので、とりあえず公開しておこうと思います。

つたない記事でしたがご覧いただきありがとうございました!